迫真文章部 字数稼ぎと場面転換の裏技①


字数稼ぎと言うといい方が悪いですが、要はキャラに厚みを持たせたい今日この頃なんです。どうやら、僕は場面をさっさと切り替えちゃう嫌いがあるみたいなので。あと場面転換。
メインのストーリーをほっぽっていいのかと聞かれればNOですが、いいんです。僕は天才なのでね……

…………

やっていきましょう。

今回調教する少年は、「変態王子と笑わない猫。①」
いい年してライトノベルを教材にして恥ずかしくないのかと聞かれたら恥ずかしいのですが、いいんです。せっかく買ったんですからね……アニメも良かったし……

…………

やっていきましょう。
ちなみに超適当にやっていくんで、誰のためにもなりませんw

 

※1ページごとの文字数は、(縦40文字×横18行×体感7割埋まり+挿絵とか考慮して6割……くらい)によって約430文字とする
※適当にやる

 

 

 

話数 6

 

1.変態さんと笑わない猫 P11~46(35ページ 約15,050文字)

シーン数 7(一行開け含む)
風景描写 9

場面転換最初の一文

シーン1
たとえば女の子の水着スタイルにおける人気投票をしたとき~(以下自分語り)

2
その日、ぼくは本格的に五千メートルを走る前に~(出来事)

3
ぼくは誤解されやすい人間だ。昔からそうだった。(語り)

4
放課後の帰り道。夏日は落ちるのが遅く~(出来事)

5
「……電話が、こない」(出来事)

6
ふもとに自転車をとめて、フェンスの隙間をくぐりぬける。(場所移動)

7
蒸し暑い夜だ。(出来事)

 

・出来事の場面転換では、すぐに風景や時間を描写(逆に、最初だけ書いてしばらく風景の描写はない場合が多い)
・会話の時には「言った。返事をした」等の描写は多用しないスタイル。会話文のつなぎでは地の文につながるようになんか含みを持たせる(曖昧)


使えそうな表現・つなぎ(最低)
・それでは~すればいいだろうか? 簡単だ。~
・~だ。だって、~(理由等)
・古くなったハサミみたいにどうも話がかみ合わない。(これに限らず、結構な頻度で直喩を使って稼いでいる印象)
・犯罪者との境界線を蛇行運転(使えそう#とは)
・さながら~のような。

 


2.なにかが喜びだれかが不幸 P47~80 (33ページ 約14,190文字)

シーン数 4
風景描写 3

場面転換最初の一文

1
「あのさ、ポン太。夏と言えば?」(出来事)

2
絶対におかしい。(語り→出来事)

3
どれくらい、ぼんやりしていたんだろう。(時間の経過)

4
直接手段がダメとなれば、手段は一つしかない。(出来事)


・言いきり→詳しくのコンボにより字数を稼ぐ。多いのは動詞→状態の描写
・やたら直喩おおい。これ直喩なかったら成り立たないんじゃないのか

腐りかけのキャベツを見るような目つきでぼくをにらんでいた。
腐りきったナメクジから逃げ出すような足取りで
コスモスの妖精のように見えた。
2.3ページに一回くらいは出てきてる。なんか無茶苦茶っぽくても多分普通に読んでる分には(但しライトノベルを読んでいる、という前提の上で)そんなに気にならない。……そんなに気にならないかこれ?
・肩、吐息が頻出 得心したように肩をすくめる、うなだれた肩を励ますように叩く  しみじみとした吐息、淡々と吐息を吐き出し、ふう、と大きな息をついた ため息がこぼれた 等

 

使えそうな表現・つなぎ
・情けない話だが、~
・~。そう言おうとして、ぞくっとした。
・~してみてから、どうも~だと気が付いた。

 

3.妖精さんは怒らない P81~164 (83ページ 約35,690文字)

シーン数 17
風景描写 5(ガッツリフェラしている描写のみ。文の中にしれっと混じっているパターンが増えたので、果たしてこれいるか? となっている)

場面転換最初の一文

1
ここで建前という概念について考えておきたい。(語り→出来事)

2
丘の上の握手から一週間がたった。(経過時間の間の説明→出来事)

3
そのとき、カーテンに仕切られた奥のベッドで、だれかがもぞもぞと動く音がした。(あまり関係ない場面から本編へ)

4
翌日。(時間経過)

5
七月二日(木) 晴れのち曇り (日記スタイル。ここで初めて具体的な日にちが出てくる)

6
「それで、ペット暮らしは楽しいですか。そうですか。救いがたい変態さんですね」(出来事)

7
さて。(さて。転換)

8
「小豆さんのことを話すのは、あの喫茶店だとできなかったと思うですよ」(出来事)

9
大通りに近づいたところで、小豆梓を見失ってしまった。(出来事)

10
小豆梓の朝は早い。(語り)

11
「なってやる――というのが、小豆梓の一日でした。完」(語り終了→出来事へ。出来事ってなんだよ)

12
騒がしいのがいなくなったのを確認して、合図を送る。(出来事)

13
高校生の本分は勉強だ。(語り→出来事へ)

14
なんにせよこの変な雰囲気を断ち切るためには、場所を移す必要があった。(場所変更)

15
そんなこんなで、あっというまに時間が過ぎた。(時間経過)

16
ゲームセンターを出た途端、ぼくにいつもつらく当たる神様がデレてくれたのか、タクシーが目の前を通った。(出来事)

17
現役陸上休部中部員にとって五キロなんて大した距離ではなかったけど、鬼ごっこがせいぜいの児童福祉クラブの部員にとっては、五キロは大変な距離であるようだった。(出来事)


・場面転換の文章でもわかることだが、短く言い切る→長く説明するのパターンが非常に多い。
・風景描写が減ったのはある程度序盤で説明を済ませたというのがあるかもしれない(詳しいところはわからない)
・舞台は夏。やたら暑い暑い書いてあるけど読む分にはそこまで気にならない(書くとしたらわからない)
・語彙力が高い(あたりまえ体操) 侮るなかれというやつ。
・この章での頻出は顔色と唇。というか、ガッツリ出てきた小豆梓と言うキャラが感情を表に出しやすい性格なので、すぐに瞬間湯沸かし器のたとえが出てくる。
・相変わらず直喩が多い。

使えそうな表現・つなぎ
・~しながら、○○は~した。
・~したところ、「~!」~された。地の文、「会話文」~動詞。のパターンやたら多い。
・会話してて振り返るパターン。ABの順番じゃなくてBA(伝わらない)
・おもむろに~した。
・顔を見合わせた。
・~かもしれない。(逆接)、説明~
・首を振ったシリーズ(結構首も出てくる) ぶんぶんと、ぶるぶる勢いよく、とか
・視線が往復するやつ
・震える唇は白ばむまで強く噛み締められている
・頼りなく揺れる双眸が不安いっぱいにぼくを見ている。
・しきりに瞬きをして、~
・肩の上下が落ち着くのに同調して声も小さくなっていく。
・こっちを一瞥。そして二度見。三度目は凝視。(どこで使えんだこれ?)

 

4.哀しむ前に声を出せ P165~210 (45ページ 約19,350文字)

シーン数 10 
風景描写 8

場面転換最初の一文

1
セミの声がやかましくてたまらない。(出来事)

2
繁華街で別れて三日。(語り)

3
すぐに昼になった。(時間経過)

4
まあ、確かに。(場所移動の前フリ)

5
一本杉の丘が橙色に染まりだしていた。(場所移動)

6
筒隠と別れてすぐ、ポン太にメールした。(補足?)

7
ゲームセンターにおけるクレーンゲームの常識。(出来事)

8
翌朝、午前九時。(時間経過)

9
「一介のドライバーには、新たな被害者の安全を祈る以上になにもできず……」(場所移動)

10
一本杉の丘には人影はない。


・ここ起承転結の転 力入ってる。
・クライマックスでは風景の描写が丁寧に 印象つけようとしてる?
・風景を心情に重ねる例のやつ(保坂和志に怒られるやつ)が多分初めて出てくる
・総括も入ってる
・序盤の伏線をどばーっと回収すると、もう気が狂うほど気持ちええんじゃ(TDN感想)


使えそうな表現・つなぎ
・耳元で~(結構出てくる)
・どんより閉ざされた空間は~
・○○は虚を突かれたふうに身体を硬直させた。

 

5.気楽な王の斃(たお)し方 P211~284 (73ページ 約31,390文字)

シーン数 11
風景描写 8

場面転換最初の一文

1
ところでヒゲダルマの数学の補習のことだけど。(賢者タイム語り)

2
そういうわけで、本格的に手持ち無沙汰になってしまったのである。(理由)

3
帰り際、生徒指導室の様子を見に行った。(補足)

4
まったく、本日も朝っぱらから太陽を打ち抜きたくなる暑さだ。(時間の経過)

5
国道沿いのバス停で、筒隠にまた背中を押されて降りる。(場所移動)

6
「タンキニもいいけどさ、たまにはマイクロビキニも見たいよね!」(特になし)

7
バスの終点は、一本杉の丘にほど近い住宅地だった。(移動場所の提示)

8
「――いったああああ!」(時間の経過)

9
学校に行って事情を放したとたん、(場所・時間の経過)

10
真昼の決闘、という古いアメリカ映画を知っているだろうか。(語り→出来事へ)

11
果たして戦いはうやむやに終わり、決闘者はそろって猫像の前に正座させられた。(結果)

 

・もいっこの転 こっちは……前話に比べるとナオキです
・やっぱり風景の描写は場面のつなぎの直後に来ることが多い。そっちのが楽っぽい


使えそうな表現・つなぎ
・やおら至極不機嫌そうに唇を尖らせて、
・~の陰で、がつりと教卓の蹴られる音がする
・大きな瞳は不自然なくらいに何度も瞬きしている。(二次元美少女キャラで瞳が小さい奴なんているのか?)
・ぼくの胸に冷たいものが差し込んでくる。
・声がぷっつりと途切れる。窓の方を見続ける筒隠の横顔が光と影に切り分けられている。細めた目は年相応に儚げで、そのまま薄れていきそうな怖さがあった。
・苦々しげに目を細めた。
・~つまりぼくの視界が一回転。右半身に鈍い衝撃がかかる。そうか、投げ飛ばされたんだ。(鈍い衝撃が来て~されたと気づくパターンのやつ。ほかの小説でも見たことある)
・睫毛の一本一本を数えられそうな距離で、
・~とでも言いたげな顔(便利)

 

6.変態さんと、今はまだ―― P285~291 (6ページ 約2,580文字 エピローグ)

シーン数 1
風景描写 1

・特にいうことなし

 


総括

280ページ 約120,000文字(もうちょい少ないかと思われる)

話数6 
細かな場面転換含むシーン合計50 長さの幅は300~5,000くらい?
ガッツリ風景 34~ 細かな描写は多い。舞台が夏なのもあるけど、すげぇ暑い暑い言ってた。


起承転結でいえば
1話 起 ~46P
2.3話 承 ~164P
4話 転① ~210P
5話 転② ~284P
6話 結 ~291P

 

 


おまけ
風景描写これくしょん(夏と夕方に使えるかもしれない)

七月も間近の炎天下。風は弱く、太陽が南の空に踏ん張っている。陽炎がグラウンドに立ち上り、頭の先と足の先から同時に焦がされていくような、ひどい地獄日和だった。

放課後の帰り道。夏日は落ちるのが遅く、うらぶれた影法師がよろよろとアスファルトをさまよっている。

ぼくも西の方角をちらっと見た。巨大ジャングルジムのてっぺんに登れば、家々の屋根を超えて、街のはずれの一本杉の丘が視界に入る。気持ちのいい草原が盛り上がってた課題となり、頂上には老齢の杉がそびえたつ。その大樹の根元に、いったいだれの悪戯やら、猫の木像がちょこんと鎮座している。

窓の外、夏の夜の向こうに一本杉の丘が見える。人工的にちりばめられた家々の灯りの中で、そこだけが黒々と濡れてひっそりと静まり返っている。

蒸し暑い夜だ。むせ返るような草の匂いがする。

平和な朝日がまぶしい。

校門を出て、西日の差し掛かった通学路を自転車で駆けていく。

吹きつける夕闇の風にさらわれそうに髪をなびかせている。

降りしきる雨は激しさを増し、夏なのに立っているだけで身体が冷えてくる。

繁華街の一角にあるゲームセンターは、~

気が付けば夕方。東の空に月の足音が聞こえてくる。

セミの声がやかましくてたまらない。

真夏の太陽にじりじりと焦がされる団地の

一本杉の丘が橙色に染まりだしていた。昼と夜のはざまで、風が凪いでいる。

暮れなずむ一本杉の影が、丘を二つに切り分ける線のようにまっすぐ伸びている。

廊下の方をちらと見る。どんより閉ざされた空間は頑として沈黙を貫いているままだ。

一本杉の丘に人影はない。ご機嫌な太陽と、涙の猫像だけがぼくらを見ている。

涼風が枝葉を洗う静かなさざめきに、決心を後押しされているような気分になる。

窓から差し込む陽光が、~

 

 

感想
 ぬわつかです。一冊の本を通しでこんな風に(これでも全然甘いんだろうけども)読むのは初めてだったので、結構斬新と言うか、今までは見えなかったところも見えたような気がします。まあこれが何かためになるかというのは置いておいて……。アニメになるような作品なので語彙も達者で文章が上手と言うかストーリーも上手なんですが、なんとなく文章のリズム? パターン的なのはあるのかなと思いました。例えば、上でも書いたんですが場所の移動・時間の経過を早めに提示してしまうのだったり、動詞を短く言いきってから理由あるいは人物の描写を付け加えたりといった感じですかね。あと直喩が本当に多くてビビりました。これでからくりはわかりました。字数稼ぎの裏技は達成です(妥協)。あとは、キャラクターを前面に押し出すような作品だったので、会話のやりとりで話を進ませてる感じがありましたね。これが他のジャンルだったらそうもいかないんでしょうが、会話:地の文の描写の力の入れ具合なら6:4ないし7:3くらいにはなりそうでした。二次創作も色々ありますけど、キャラを立たせて押していきたいなら会話を意識的に多くしてもいいかもしれません。あるいは、台本形式と地の文の混じったやつとか、そういうので練習するのもいいかもしれないですね。僕はやりませんが……というか何にも書けませんが……。