さよなら - Rinda9v
左手の甲に小さな傷がある。中学二年生の時についた傷だ。 我が家で飼っていた犬の「コロ」の散歩をしようとした時、リードをつける前に小屋から飛び出された...
rinda9v.hatenadiary.jp昨日の参照。
昨日、自分でも驚くほど泣いた。
叔母からLINEが来た時も泣いたし、祖父に電話をして「ありがとね」と言われた時は思わず嗚咽が出てきてしまって、通話を一方的に切ってしまった。
昨日今日とブログを書いて公開することには多少のためらいがあった。自己満足以外の何物でもないし、このようなことをブログという形で書くことに鼻白んだ人もいるのかもしれない。それでも、泣きながらでも書くことにした。みみっちい10程度のPVを稼ごうと思ったわけではない。なにより、自分で自分を慰めたかったのだ。
祖父の言葉が頭から離れない。
だって、何より辛いのは祖父の筈なのだ。愛犬家かと言われれば首をかしげることになるが、コロと一番長く過ごしたのは間違いなく祖父だった。毎日欠かさず餌をやり、散歩に行き、コロが病気になればすかさず病院に連れて行った。
「最後にお前に会えてよかったと思う。ありがとね」
電話口で聞く祖父の声はどこまでも穏やかだった。もちろん、コロの衰弱していった経緯を一番知っていたのは祖父なのだから、近いうちこうなることは予想していたのだろう。それでも、自分が祖父の立場だったらあんなに穏やかな声を出せるだろうか。
自分は若輩者だ。めそめそと泣きながら匿名で記事を書くより、もっとやらなければならないことがあるのはわかっている。なにより、17年コロと連れ添った祖父に対して、昨日もっとかける言葉があったのではないか。
「お疲れ様」でも「今までありがとう」でも不適当な気がする。だとしても、いきなり電話を切ることはなかった。自分だって別れは避けられないと思っていたはずだったのに、蓋を開けてみればこのありさまである。二十歳はとうに超えたのに、中身は情けない孫のままだ。
実家に帰っても、もうオンボロの小屋には誰もいないのだろう。
鳴き声で来客を感じることはないし、散々撫でまわしてから犬臭さに手を洗うこともないのだろう。
それでも、祖父を労うことはできるかもしれない。
泣くかもしれない。いや、きっと泣くのだと思う。でも、言わなければならない。
祖父は足が悪くなった。杖がなければ立つことはできないし、数年前までは信じられないくらい身体も細くなった。
五年後どころか、来年もわからない。だから、今言わなければならない。
明日、花でも持ってもう一度実家に帰る。